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2006-11-14

テレビの取材を受けて

今年の春、テレビ出演の依頼があった。

番組内容を編集した単行本も出版されているそうだから、それなりに知名度の高いプログラムなのだろう。私はテレビを見ないので、かろうじて司会者の一人を知っている程度だったが。

電話で取材を受けた後、私の所有する文房具を見るために制作会社の人たちが我が家に来た。数日後に番組には採用されない旨の連絡を受けた。

たぶんウェブサイトをこうして開いていなかったら、取材を受けるなどという体験はしなかっただろう。面白いものだなと思う。

ただ、彼らが期待しているものと私が目指す方向性の間には深い溝が横たわっているという確信が初めからあったし、その確信は取材のステップを一つ踏むごとにどんどん強くなっていったので、番組に採用されない旨の連絡を受けたときには安堵感に似たような感覚があっただけで残念だという気持ちは全くなかった。

「深い溝」とは何か。それを明確にするのに半年かかった。一言で言えば「私はコレクターではない」ということである。

私は自分の食指が動いたものしか買うかどうかの吟味の対象にはしない。吟味した結果、使わないと判断したものは買わない。とりあえず買ってみて後から使い道を考えるのはバカのすることだと思っている。気に入ったラインナップがあった場合には、そのなかでいちばん気に入った色のものしか買わない。全色コンプリもしないし、予備と称して複数購入することもしない。ものを死蔵するのはバカのすることだと思っている。バカが持ち金をどう使おうがバカの勝手だが、そのものを作るために必要とされた資源は、死蔵されるために費やされたわけではない。眺めてニヤニヤと一人悦に入るためでもないし、並べた写真をブログに掲げて他のバカにお追従を言ってもらって満足するためでもない。使われるためだ。使われるために作られたのだから、使わないのであれば買わない。

このウェブサイトの冒頭に私はこう書いた。

文房具とは、私たちの生活とは切っても切り離せないもの。
だからこそ、ちょっと機能やデザインを意識するだけで生活を楽しく、華やかに彩ってくれるもの。

ずいぶん前に書いたものだが、今改めて読み返してみて、確かにその通りだと思う。文房具をコレクションする、あるいは死蔵すると、それは生活と切り離されてしまう。生活と切り離された文房具は、もはや私の目には文房具とは映らない。それはとても奇異で、吐き気を催す気持ち悪さを帯びて私に迫ってくる。

これからも私は文房具を使い続けるだろう。自分が使いたいと思う文房具を探し続けるつもりだし、文房具に関する知識に貪欲であり続けるつもりだ。ただし、決してコレクションも死蔵もしない。それは私が文房具が大好きだからであり、文房具を使うことが私にとって「生活を楽しく、華やかに彩」るための手段の一つだから。原点に立ち戻るチャンスを与えてくれたという意味で、あの取材には感謝している。

投稿日:2006-11-14| カテゴリー:文具コラム

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コメント

はじめまして。

折角、取材を受けたのに採用されなかったのこと、ちょっと残念でしたね。ただ、文具コレクターとして歪んだ姿が伝わるよりはいいですよね。

シンプルでさくっとした雰囲気でいいサイトですね。
文具や身の回り品について最近興味を持ち始めた自分なので、またちょろちょろとやってこようと思います。

投稿者 MEMO*LIFE:2006年11月16日 00:10

>MEMO*LIFE さん
はじめまして。
採用されないだろうと思っていたので、残念ではなかったのですが、司会者の人には会ってみたかったなぁと思いますね。

MEMO*LIFE さんのサイトもお邪魔させていただきますね!

投稿者 カミオソウイチロウ:2006年11月16日 01:12

私が最近感じていることを表してくれた文章です。
ホント、その通り。

文房具というジャンルに再び目がいったとき、随分バカなこともしました。
(別に後悔はしてないですよ。これから「使ってやるぞ!」っていう気は満々なので)
吐き気を催す場所いっぱいあります。
(勿論、1年前の自分のブログのエントリーも然り)
また何を買ったんだ??って、気になって(怖いもの見たさ)でサイトを覗いてるけどコメントできないですわ。言葉が見つからなくて。
そんなに買ってどうしたいの?って。いらん心配が胸に迫ってきて悲しくなります。
私自身も、昔があって(といっても1年前の話ですが 笑)今があるわけで。
使うのか使わないのか?
使おうと思って買って使えなかった...はしょうがないですけど、
最近やっと、その視点で文房具を観ることが出来るようになりました。
大人になったんです、私も(笑)

投稿者 とめ:2006年11月17日 23:01

>とめさん

どうも!ごぶさたしております。
自分の言葉が誰かの思いをいくらかでも代弁しているとしたら、それは私にとってハッピーなことです。

「そんなに買ってどうしたいの?」って、ほんとうにその通りですね。
使わないのに買うって、使われる前提のものであればあるほど、作り手にとってものすごく残酷なことだと思うんですね。
作り手がいて使い手がいるっていう、ちょっと考えれば当たり前の状況に対して思いがおよばない、そういう無神経さに腹が立つし、気持ち悪さを感じます。

いずれプチオフ会か何かで、海に向かってバカヤローしましょう(笑)。

投稿者 カミオソウイチロウ:2006年11月18日 01:22




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